これまで免税事業者であったものがインボイス発行事業者登録番号を取得することによって課税事業者になる場合には、その税負担・事務負担を軽減するために特例があります。インボイス制度への移行から3年間、当該事業者の納税額を売上税額の2割とすることができる特例措置です。
2023年10月1日を含んでいる課税期間から2026年9月30日を含んでいる課税期間が適用対象期間となります。例えば12月決算の免税事業者が2023年10月1日にインボイス制度に登録した場合には、2023年(10月~12月分のみ)分の申告から2026年分(1月から12月まで)の申告までの計4回の申告が適用対象となります。
3月決算の免税事業者の場合には、2024年3月期(10月から3月分のみ)から2027年3月期までの計4回の申告が適用対象となります。
免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受け、登録日から課税事業者となる場合には、そのものは適用対象者となります。
(課税事業者選択届出書を提出している場合については、ここでは省略します)。
したがって、
インボイス発行事業者の登録と関係なく既に課税事業者である場合には、本特例の対象にはなりません。
(課税期間を1か月や3ヶ月に短縮している場合にも、本特例の対象にはなりません)。
下記の②(2024年)の課税期間の課税売上高が1千万円を超える場合には、2026年の課税期間は2割特例は適用できません。
売上税額 - 売上税額×80% = 納税額
確定申告書に設けられる記載欄に本特例を受ける旨を付記するだけで、本特例が適用されます。事前の届け出は不要です。
原則は、簡易課税制度の届出を提出すると、その提出した課税期間ではなく提出した期の翌課税期間から簡易課税制度が適用されます。
しかし、本特例(2割特例)の適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、簡易課税制度の適用届出書を提出したときには、その提出した期の課税期間から簡易課税制度を適用できることとなります。
例:12月決算の事業者が2026年分の申告について20%特例を適用した場合、その翌課税期間中(2027年12月31日まで)に簡易課税制度の適用届出書を提出すれば、2027年分の申告から簡易課税制度を適用できることとなります。
免税事業者が、簡易課税制度選択届出書も提出している場合であっても、2割特例の選択が可能です。簡易課税選択届出書を取り下げる必要はありません。
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