非永住者(日本にいる外国人の方)の課税される範囲

こんにちは、山口国際税務会計事務所の山口善夫です。

今回は、日本にいる外国人の方の多くの方が当てはまるであろう、「非永住者」の課税について確認していきます。日本人のような「永住者」と非永住者では、日本で課税される範囲は異なってきます。

非永住者とは

日本の所得税の課税対象となる個人は、居住者と非居住者に分かれます。

居住者とは、日本に住所を有しているか、又は日本に1年以上滞在している個人を言います(所得税法2条1項3号)。日本人か外国人かという国籍は関係ありません。

個人が国内において継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合には、国内に住所を有する者と推定されます(所得税法施行令14条1項1号)。さらに、在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかである場合を除き、1年以上滞在居住するものと推定されます(所得税法基本通達3-3)。何年滞在するのか不明である場合も、来日の当初から居住者と推定されることになります。

非居住者とは、居住者以外の個人です。

居住者は、さらに永住者と非永住者に分かれます。

非永住者とは、日本の居住者ではありますが、日本の国籍を有しておらず、且つ、過去10年以内において国内に住所等を有していた期間の合計が5年以下である個人を言います(所得税法2条1項4号)。

区分 定義
居住者 永住者 非永住者以外の居住者
非永住者 居住者のうち、日本に国籍を有しておらず、かつ、直近の過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以内である個人
非居住者 居住者以外の個人

国内勤務期間が変更になった場合

例えば、2年間の予定で日本支店勤務を命じられて来日した外国人の方が、健康上の理由により10カ月程度で本国に帰国した場合には、その居住形態はどのようになるでしょうか。

本問の場合、当初は2年間勤務する予定で来日しているため、入国の翌日から居住者に該当するものとして取り扱われます。そして出国の翌日から非居住者として扱われることになります。つまり、途中で赴任期間に変更があった場合でも、過去に遡って居住形態が変更されることはありません。

課税の範囲

非居住者、居住者(永住者)、居住者(非永住者)の違いから、日本の税金が課される所得の範囲が異なってきます。

個人が居住者(永住者)に該当する場合、国内源泉所得か国外源泉所得かに関わらず、全世界で獲得した所得に対して日本にて課税をされます(所得税法7条1項1号)。もし国外源泉所得について外国でも課税をされていると、2重に課税されることになりますが、2重課税を緩和すべく、外国税額控除や租税条約といった制度的な手当てがあります。

個人が居住者(非永住者)に該当する場合の課税の範囲は次です。

  1. 国外源泉所得以外の所得(≒国内で生じた所得)
  2. 国外源泉所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの。

 

区分 国内源泉所得≒国外源泉所得以外の所得 国外源泉所得
国内払い 国外払い
居住者 永住者 課税
非永住者 課税 送金課税
非課税
非居住者 課税 非課税

国内源泉所得(所得税法161条)と国外源泉所得(所得税法95条4項)以外の所得はイコールではありませんが、便宜上≒としています。

国外からの送金を返金した場合

非永住者の国外源泉所得については、日本に送金をすれば課税、送金しなければ課税されないということですから、必要性もないのに安易な送金はしない方がいいということになります。

例えば、一度海外の口座から日本国内口座に送金をしたがすぐに海外口座に返金した場合はどうなるでしょうか。100ドルを日本に送ってきて80ドルを返金した場合には、残りの20ドルに対してのみ送金課税されるのか、又は100ドルに対して送金課税されるのでしょうか。

この点、裁決事例集No76 H20.8.4によると、あくまで最初に送金された100ドルに対して課税をするとのことです。

「所得税法第7条第1項第2号が、国内で支払われ、又は国外から送金されたことを、非永住者の国外源泉所得を課税所得とするための要件としているのは、送金を課税権を行使する契機としたものというべきであり、さらに、所得税法第7条第1項第2号及び本件規定が「送金」の内容に特段の限定を付していないことにも照らせば、いったん国外払の所得が国外から国内に送金される事実がありさえすれば、特段の限定なく所得税法第7条第1項第2号に規定する送金があったということができるというべきである。」